家元 ご挨拶
三品 流昭 Mishina Ryusho
昭和二十六年(一九五一)、宮城県亘理郡亘理町に生まれる。
三品姓になってから七九代目の傍系の二代目。
三品家は、神官の家柄。
三品家の祖は、第十二代景行天皇の親王(天皇の兄弟・子ども)。
『日本書紀』景行天皇四十一年(西暦百十一年)条に、「日本武尊ヤマトタケルノミコトの東征」で、地元を代表して、対面した者を初代としています。
景行天皇は、全国を支配下に置くために、景行天皇四年二月から、天皇の親王(兄弟・子ども)を「和気・別」の表記で配置し、当家にもいらっしゃいました。こうして、ふたつの三品家が出来ました。
天皇家の一族。名字の「三品(ミシナ)」の由来は、皇族の官位の名前が「三品」サンポン。貴族の三位サンミ、に相当する「殿上人(てんじょうびと)」です。
二つの三品家は、後に、先住の三品家が宮城県黒川郡に移ったとされ、現在につながる三品家は天皇家の系統、と理解しております。
近世(江戸時代)には伊達藩の一部として亘理伊達氏の支配下にありながらも、官位(朝廷から授かる位階)は、亘理伊達氏より格が上でした。
この動きとの関連は不明ながら、数点の香道具が伝わっています。中にはこれまで香道では知られていない、香道具の一つと思われる品があります。
令和四年(二〇二二)現在、七一歳。修士(文学)、学芸員、教職、元山形大学東北創生研究所連携研究員。一般社団法人日台政策研究所所員。香道大枝流家元。香道の実践家で、学位を持っている方は、他にいないと思っています。
昭和四八年(一九七三)、東北学院大学文学部史学科、卒業。
平成三〇年(二〇一八)、山形大学大学院社会文化システム研究科文化システム専攻、修士課程修了。修士。
ここでの学びの中で、香道御家流三代目の岩田信安が、学習者を階級によって、御家流・大枝流・岩田流にわけて同じ内容を教えていたということがわかりました。
香道とのお付き合いは、四十年以上。始まりは、御家流でした。御家流初代宗家 三条西堯山ギョウザン(公正キンオサ)先生の時代でした。
息子さんの堯雲先生と続きました。約二十五年学ばせていただきました。
一九九八年初許し。
二〇〇〇年に、御家流の別の名前の「大枝流」を再興すべく独立。
御家流は、三代目岩田信安(出版物の表記では、大枝流芳)が、階級社会の中で、違う階級の者と同席させないために、内容を同じで、流が違うように、分けました。「御家流」・「大枝流」・「岩田流」です。三つの「流」と名乗ったことで、分かりにくくなった原因です。
現在、香道大枝流の表記を「香道三品大枝流」としております。
山形県第二の地主であった柏倉九左衛門家は、代々の当主が「香道大枝流」の門人でした。「我が家は、香道大枝流です」とおっしゃっています。
御家流の家元が、京都から東京に移転しても通っていらっしゃいました。
定例のお香の会は、仙台・山形・京都・東京で、開講しております。
京都で2022年から始めた定例会の会場は、白沙村荘・橋本関雪美術館「国指定の名勝」です。
定例の「お香の会」のほか、後継者育成をめざして「講師養成講座」を開催。現在、四期生。さらに上級の「師範養成講座」は、一期生と勉強中です。
二〇十九年には、台湾で、初の外国での香席を開催。社団法人台南市台日友好交流協会、国立成功大学にて、計二席開催させていただきました。
香道以外の活動
香道では、和歌(短歌)を中心に取り扱います。和歌を、読み、自作を筆で書く、教室を開講中です。
フェイスブックやインスタグラムの「三品隆昭」のページで、「和歌のチカラ」と名付けた連載を続けております。はがきに自作の歌を筆で書いて、紹介させていただいております。
香道では、『暦』、『歳時記』を使って、季節感を通して日本文化を楽しみます。このところの「気候変動」による地球環境の変化に、心を痛めております。
その中で、「植物の姿の美しさ」にひかれて、「一輪挿しのススメ」を、お香席の中や先のSNSを通して紹介しております。
流祖の岩田信安先生は、香道のみならず、生け花・煎茶の分野でも、「大枝流芳」の名前で、本を出版しております。
多方面に興味を広げることで、多面的なものの見方をしながら、
バランスよく考えていくスタンスを大事にしていたのだと思います。
「お香の会」にご参加
をお待ちしています
日本の文化の特徴の一つとして、四季がはっきりしていることです。目に見えないものにも、たくさんの言葉を作り、歌に詠み、日常的に使ってきました。
もう一つの特徴は、繰り返す季節を経る中で、人間は、成長します。今まで見えていなかったものが見えてきます。感情が動かされることがなかったものに、心を動かされたり、足を止めたり、心が豊かになっていきます。
旧石器時代以降、日本列島に住んでいた私たちの祖先は、私たちに直接つながっています。外国の支配下になり、文化を壊すことを強制されず、今につながっています。このように文化を継承できた国は、世界中見渡しても日本だけではないでしょうか。
「中国八千年」と言いますが、かの国は国が何度も変わり、連続性のある文化はありません。
日本には、古代のモノ自体も残っていますし、技術としても再現できます。そんな素晴らしい国が、日本です。
今、多くの日本人では、「知らない」ので、「興味がない」のです。
「お香の会」で、なるべく本物に触れて、大事に扱うことを知り、本物の魅力に心を動かされる体験をしていただき、これらに興味を持っていただきたいと願っています。
1 新村出編『広辞苑』(岩波書店、一九八三,第三版)、八一八頁。
2 『日本大百科全書』(小学館、)三六九頁。
3 前掲書、三六九頁。
4 『広辞苑』、二二九九頁。
5 『広辞苑』、一四七四頁。
6 三條西公正『香道 歴史と文学』(淡交社、一九九一)、一九七頁。
7 前掲書、一〇頁。
8 『広辞苑』、一一九〇頁。